輸出事業はヴォークスの新たな挑戦。
世界各地に日本の食品を届け、ビジネスの幅を拡げる。

  • アグリ事業部
  • グローバル展開

INTRODUCTION

海外各国で愛される日本の食品。それらの安定的な輸出や拡販は、メーカー・商社・小売店における永遠のテーマとなっています。
今回お届けするのは、当社を代表する冷凍野菜や果物、わさびとは異なる事業として生まれた輸出事業について。
入社以来この事業に携わっているM.M.さんと、VOX TRADING AUSTRALIA(VTA)で輸入や営業、販売業務を担うK.M.さんに、部署立ち上げの秘話から今後の展開までたっぷりとお聞きしました。

PROFILE

  • アグリ事業部輸出一部 部長 M.M.の画像

    アグリ事業部輸出一部 部長

    M.M.

    2010 年にヴォークス・トレーディングへ入社し、海外市場開発部で営業活動に従事。その後 2014 年から 1 年半にわたり、VOX TRADING THAILAND に出向。帰任後は輸出一部の部長として、販路や輸出商品の仕入先開拓に加え、スタッフの管理業務にも携わる。

  • VOX TRADING (AUSTRALIA) PTY LTD. Director K.M.の画像

    VOX TRADING (AUSTRALIA) PTY LTD. Director

    K.M.

    2015 年、ヴォークス・トレーディングに入社。入社後は穀物部に配属され、営業として輸出入業務に従事。2020 年から VOX TRADING AUSTRALIA(VTA)へ出向し、アジア圏のコメを中心とした食品を輸入、販売している。

行動した成果が、「ほぼ 100%輸入」のビジネスモデルを変えた

輸出事業は、どのような経緯で確立されたのでしょうか?

M.M.
2002 年にヴォークス・トレーディングが設立し、それから数年が経ったとき、お客さまから「コーヒー豆の選別機をベトナムに輸出してほしい」という声が掛かったんです。しかし、それまで当社が扱っていた商材は、ほぼすべてが日本向けの輸入食品。ノウハウがないなか、当時の社員はそれまでの知見を駆使し、機械の輸出を遂行しました。この一件から、「輸出にも取り組んでいこう」という声が社内で挙がり、新たに“輸出事業”が誕生しました。これが、約 10 年前のできごとです。
K.M.
私が入社した 2015 年は、今のような部署ではなく、穀物部の事業の一環として輸出事業がありましたよね。
M.M.
そうなんです。実は、今の形になるまでは紆余曲折あって……。機械の輸出が始まった当初は「食品機械部」、そして米の輸出量が多かった時期は「穀物部」として事業を行っていました。そして、2016 年に「輸出部」として部署を設立。現在では、担当エリアごとに 2 つの部門に分かれて業務を行っています。

そんな輸出部の特徴を教えてください。

M.M.
「売る商材も、お客さまも、営業の裁量に任されている」という点が一番の特徴です。
K.M.
確かに、それが他の事業と最も異なる点ですよね。それこそ、私は入社からの5 年間は穀物部で輸出業務に携わっていましたが、商材は小麦粉が主だったんです。売り先も既存顧客であるため、VOX TRADING AUSTRALIA(VTA)に出向したときは、輸出部の自由度の高さに驚きました。
M.M.
“輸出事業”が生まれた当初は、今よりももっと自由……というか、正直、手探り状態でした。6 つの海外拠点と連携しながら、各国での拡販に務める日々。当時は私やマネージャーを含めて 5 人の社員がいたのですが、全員が営業活動に奔走していましたね(笑)。でも、自分の行動がダイレクトに結果に反映されるので、とても楽しかったです。

ほかにも、事業に携わるなかで印象に残っているエピソードはありますか。

M.M.
インドネシアでの営業活動が思い出深いです。「海外に向けて、食品を中心に輸出する」というビジネスは競合も多く、特に香港やシンガポール、アメリカなどの国は参入の余地がありませんでした。その一方、インドネシアは輸入規制が厳しいため、参入障壁は高いものの、同じフィールドで戦う企業が少なかったんです。さらに、インドネシアには当社の拠点もあるため、「ここしかない!」と思い、現地の人々に喜ばれそうな商材を探していきました。
K.M.
インドネシアでは、どんな食品がヒットしたんですか?
M.M.
生鮮のきのこは、現地のレストランや日系の小売店に重宝されました。生鮮食品は輸送中にどうしても鮮度が落ちてしまうので、1 ヶ月ほどコンテナの中で眠らせながら運ぶんです。また、きのことは別に約 20 品目を一気に輸出し、インドネシアの高級スーパーで試食イベントを開いたこともありました。消費者の方々のリアクションを直に感じられるので、食品ごとのニーズや現地の食文化を学ぶことができました。
K.M.
新しい商材を探す際は、日本と現地拠点が連携するケースも多いですよね。特に VTA の場合は、オーストラリア国内で食品を輸入・販売する企業が競合になります。そのため、「輸出国である日本と細やかなやり取りができ、要望に沿った食品をお届けできる」点は、輸入者としても大きな強みになっています。

情報収集と綿密なコミュニケーションで、顧客からの信頼を醸成

輸出部における新規顧客開拓は、どのような方法で行うのでしょうか?

M.M.
現地拠点がない国の場合、主に 3 つの方法で新規顧客を獲得しています。まず、「特に拡販したい商材がある場合、輸入してくれそうな(商材にマッチしそうな)国の方にコンタクトを取る」ケース。次に、「直接お問い合わせをいただき対応する」ケース。最後に、「既存顧客からご紹介いただく」ケースです。どの方法も、そこからお客さまの希望に合いそうな商材や条件を考え、ご提案の場を設けます。
K.M.
現地拠点がある場合は、私のような現地スタッフが、お客さまとお会いして直接お話しすることで、新しいお取引につなげています。商売には「人対人」のコミュニケーションが不可欠なことを日々痛感しています。
M.M.
営業の裁量が大きいから、一人ひとりに積極性が求められますよね。そのぶん、「継続的に売れそう」と思って提案した商材が実際に売れたときは、自分に自信が持てますし、お客さまとのつながりも一気に強化される気がします。

普段の業務で意識していることはありますか。

K.M.
お客さまに対して、定期的に情報を提供できるよう心がけています。収集の場として活用しているのは、年に 2 度シドニーとメルボルンで開催される、食品の大規模な展示会。オーストラリア全土の食のトレンドや傾向がつかめるので、足を運ぶようにしています。
M.M.
最近はどんなものがトレンドなの?
K.M.
ここ数年は、日本と同様に健康食品がブームです。数年前は「大豆ミート」を使った商品が多く並んでいましたが、最近は手軽にタンパク質を摂取できるプロテイン商品をよく見かけますね。オーストラリアでも、健康意識の高まりから業界全体で健康問題にアプローチしている印象です。
M.M.
私も、情報の先取りは常に意識しています。というのも、ここ数年は異常気象が原因で農作物の収穫が安定せず、価格が変動したり、十分な量が確保できなかったりすることも多いんです。日本食が海外でブームになっているなか、食材が提供できなければお客さまからの信頼を失いますし、利益面でも大きなマイナスになります。「お客さまの求める食材と数量」は常に確認し、安定した輸出ができるよう、各生産者やメーカーとの協力体制を築いています。

出向経験のあるおふたりですが、日本と海外でギャップを感じることはありますか。

K.M.
海外はまず仕事のスピードが早いですし、人との距離感も、振る舞い方も日本とは大きく異なります。たとえば、オーストラリアには「オージータイム」と呼ばれる、「待ち合わせの時間を気にせず、遅れても気にしない」という風土があるんです。とは言え、この文化はすべての場所で適用されるわけではありません。出向当初は、「このケースはどうすればいいんだ……?」と、判断に迷う場面もありました。
M.M.
現地では失敗や経験から学ぶことが多いですよね。一方で、商談や契約のタイミングといった重要な判断は、日本拠点のメンバーやベテラン社員が適宜サポートしています。そういえば、K.M.くんは現地の方々と一緒にプライベートも満喫しているよね。
K.M.
そうなんです。VTA の現地スタッフや他の日系企業の方々とゴルフをしたり、野球の大会に参加したり……。出向してから、友人も増えました。さらに、プライベートで築いた交友関係も、気づかないうちにビジネスの“種”になっていることがあるんです。最近では、食品以外の業界の方との交友関係が、新たな事業開発のきっかけになりました。

海外売上目標の達成、そして、次なるビジョン実現のために

最後に、輸出部の今後の展開について教えてください。

M.M.
「これまでの常識に捉われず、あらゆるビジネスに挑戦できる」というヴォークスの強みを活かし、輸出部としても、新たな事業のかたちをつくっていきたいです。例えば、そのひとつに「日本食を輸出する企業のサポート」があります。過去にも、当社は商品の拡販や PB(プライベート・ブランド)化に加え、企業が海外進出する際のサポートや、現地企業とのマッチングにも携わった経験があります。ここまで幅広い対応ができる会社は数少ないため、お客さまからのさらなる信頼を獲得できますし、競合企業との差別化も図れると考えています。
K.M.
私は、食品を輸入するだけならネットで完結する今の時代だからこそ、商社としての付加価値を高めていくことが重要だと考えています。そして今、VTA としてもさまざまなことにチャレンジしている最中です。先ほど挙がった「日本食を輸出する企業のサポート」では、VTA が持つコネクションを活かしたサポート体制を構築したり、食品以外でも企業が抱える課題を解決したり。最終的には、ヴォークス・トレーディングが掲げる海外売上目標の達成をめざし、あらゆる可能性を模索していきたいです。 PB(プライベート・ブランド)化に加え、企業が海外進出する際のサポートや、現地企業とのマッチングにも携わった経験があります。ここまで幅広い対応ができる会社は数少ないため、お客さまからのさらなる信頼を獲得できますし、競合企業との差別化も図れると考えています。
M.M.
海外売上の伸長は会社としても重きを置いていますので、次年度の目標は必ず達成したいと思っています。ただ、それ以降の急速な拡大は、これまでと同等の活動では難しいのも事実です。当社の長期ビジョンにもある“業界 No.1”の実現には、新たなプロジェクトをどんどん企画、実行あるのみですね。

本日はありがとうございました。